3月1日午前10時30分から,静岡地方裁判所201号法廷にて,第3回口頭弁論期日が開かれました。
被告は,今回提出した2月29日付準備書面(1)ではじめて「浜岡原発の安全性」に関する具体的な主張をしました。これまでは,年末に出される政府の事故調査・検証委員会の中間報告を踏まえた主張をしたいので,待って欲しいと言っていたのです。
しかし,今回提出された被告の主張は,被告が福島第一原発事故の前からしてきた主張(2003年から続いている先行浜岡原発運転差止請求訴訟で被告がしてきた主張)とほぼ同じで,それに福島第一原発事故を踏まえて津波対策を施したから安全が確保されているとの説明を加えただけのものでした。
詳しくは法廷で反論することになりますが,「安全性にとって不利に働く重大な事情を,簡単に『ないもの』とし,想定しない」という中部電力の態度には失望しました。
地震動によってスクラムができない可能性,地震に伴う諸現象によって原発の設備が期待通りの強度を保持しないあるいは機能しない可能性,想定以上の地震動・津波が原発敷地を襲う可能性,河川敷地ゆえの高い地下水位による敷地の液状化の可能性,本来想定すべきことはあげればキリがありません。
原発を推進するために,福島第一原発事故の前までずっとこうやって甘い「割り切り」をして,不利な事情を起きないものとして想定から外し,社会の目を逸らせてきたのです。その姿勢は今も変わっていないと言わざるをえません。
今日はビキニデーでした。1954年,アメリカがミクロネシアのマーシャル諸島内,ビキニ環礁で水爆実験を行い,静岡県焼津市のマグロ漁船「第五福竜丸」の乗組員が死の灰を浴びて被ばく被害を受けた日です。それから58年が経った今日も,福島第一原発の事故のために絶望の淵に立たされている人たちがたくさんいます。
裁判に出席した原告の方が「最悪の事態(原発での過酷事故)が起きたときに,それに対応する力がないことは,誰もが認める事実だ。」と言っていました。原発の安全性について甘い想定は一切許されないことを,我々は学ぶべきです。
次回の裁判は2012年5月17日(木)午前10時30分からと指定されました。
今後とも応援をよろしくお願いいたします。