当弁護団は、2015年4月14日の福井地裁の高浜3,4号機運転差止仮処分決定につき、同日、記者会見を行い、声明を発表しました。声明の全文を掲載します。基準地震動の定め方に根本的な問題があるので規制基準は不十分だという同決定の指摘は、どこの原発にもあてはまるものです。
福井地裁の高浜3,4号機運転差止仮処分決定についての弁護団声明
2015(平成27)年4月14日
浜岡原発運転終了・廃止等請求訴訟弁護団
代表 弁護士 鈴 木 敏 弘
本日、福井地方裁判所は、高浜原発3,4号機の運転差止めを命じる仮処分を決定しました。高浜原発3,4号機については、原子力規制委員会がいわゆる新規制基準に基づいて設置変更許可をだしていますが、この決定によって、再稼働することはできなくなりました。
2011(平成23)年3月11日の福島第一原発の事故を目の当たりにした我々は、原子力発電という技術が自然現象に耐えられないことを知りました。ひとたび深刻な事故に至ってしまえば、原発は、多くの人の生命、身体に重大な被害をもたらすこと、そして、放射性物質に覆われた土地はほぼ永久的に人が住めない土地になってしまうことが明らかになりました。生存を基礎とする人格権は、最高の価値をもつものであり、経済的な権利に優先するものです。その人格権に基づいて、安全性が証明できない原発の運転が差止められるのは当然であると我々は考えてきました。
本日の決定は、昨年5月21日の大飯原発3,4号機の運転差止めを認めた同地裁の判決と同じく、関西電力が想定している基準地震動を超える地震が高浜原発に到来しないという保証はないこと、基準地震動を超えない地震動でも冷却機能を喪失し重大な事故にいたる危険があることを認め、万一の場合にも放射性物質の危険から国民を守るべく万全の措置が取られていなければならないはずの原発であるにもかかわらず、そのような措置が取られていないことから、運転を差し止めました。昨年の同地裁の判決について、多くの人々が「司法は生きていた」と称賛しました。本日の決定も、福島第一原発の事故を経験した我が国の裁判所として、二度と福島の惨劇を繰り返してはならないというごく当たり前のそしてほとんどの国民が思っている考えを、法理的にも正しいものだと認めて、司法の役割を果たすべく判断を示したものであり、多くの国民の期待に応えた大変立派なものと考えます。
中部電力株式会社は、本日の福井地方裁判所の決定の内容を謙虚に受け止め、南海トラフでの巨大地震と巨大津波に耐えられる科学技術がないことを自覚し、浜岡原発の再稼働を諦めるべきです。
また、静岡地方裁判所は、原子力規制委員会の審理結果を待っていても、浜岡原発の安全性が明らかになることなどないことを理解し、静岡県を、中部地方を、日本を、そして、世界を守るために、極めて脆弱な安全対策しかできない浜岡原発の運転を一日も早く差し止めるという判断をすべきです。
以上、声明します。