浜岡原子力発電所運転終了・廃止等請求訴訟弁護団より ~ご挨拶~

私たちは中部電力を被告とする浜岡原発の運転終了・原子炉の廃止等を求める裁判の弁護団です。静岡県弁護士会に所属する弁護士有志119名、愛知県弁護士会に所属する弁護士有志126名、他の弁護士会に所属する弁護士32名の合計277名(2012年12月11日現在)で構成されています。
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【2015年5月21日】第19回口頭弁論期日・第13回仮処分進行協議期日が開催されました

2015 年 5 月 21 日 木曜日 投稿者:浜岡原発運転終了・廃止等請求訴訟弁護団

【2015年5月21日】第19回口頭弁論期日・第13回仮処分進行協議期日が開催されました

<本訴の第19回口頭弁論期日>

2015年5月21日午前10時30分から、静岡地方裁判所201号法廷にて、本訴の第19回口頭弁論期日が開かれました。

今回から、裁判官3人全員が交替したため、弁論の更新という手続きが冒頭に行われました。

この日は、原告被告双方が、裁判所に対し、わかりやすくプレゼンテーションを行う日でした。

■原告のプレゼンテーション
私たち原告は、約40分間、法定内のモニターを使って、パワーポイントによるプレゼンテーションを行いました。

主には、以下のことをプレゼンしました。

◎立地条件

浜岡原発建設当時は、昭和40年代の立ち遅れた地震学の知識しかなく、プレート境界型地震の知見はなかった。そのため、世界最悪の立地に、地震・津波・液状化のあるあまりに愚かな場所に造ってしまった。

強振動生成域(以前アスペリティと呼んでいた)は、直下かつ浅い。
地震が2連動・3連動で起こりうる地域である。
震度6~7が想定されている。その真上に作ったのが浜岡原発である。

浜岡原発の地域は、昭和30年代に付け替えられた川がある。
もともとは川が湾曲していたが、現在は真っ直ぐに付け替えられた。
埋立地の上に作られた原発である。

浜岡原発は、砂の上に立つ砂上の楼閣で、液状化が起こりうる地域である。
液状化は、防潮壁の脆弱化をもたらす。
液状化は、一回起きると何度も繰り返す。
1944年の東海地震の時は、浜岡原発の近辺で液状化が起きている(場所は、池新田、佐倉、朝比奈、新野など)。このように、前後左右は液状化だらけである。

◎津波について

プレート境界型地震における巨大津波では、陸地に近づくにつれ、波が巨大化するダイナミックオーバーシュートが起こる。

海底地形としては、御前崎海脚(かいきゃく)では、浅いところで波が盛り上がる。

津波が障害物にぶつかると、運動エネルギーが位置エネルギーに変わり、1.5倍になるという屈折効果が起こる(東日本、チリ)。

地形に回りこむことで波が増幅される。

遡上効により、岩手県宮古市田老地区では、津波の高さが防潮堤を超え、巨大な防潮堤が全部崩れた。
浜岡でも、終局耐力(しゅうきょくたいりょく)を超えれば、田老地区の防潮堤と同じになってしまう。

◎地震想定

もともと、地震想定はブレが大きい。
地震学はは、確たる証拠も、実験的確認もできない科学分野である。
実地で確かめることができない。常に後追いである。

地震想定について、統計的解析も中央値で、上下に外れた値は無視しているが、原発に中央値を使って良いのか。

基準地震動について、全原発で588年~58800年に一度のはずが、宮城県沖地震、新潟県中越沖地震、東日本大震災など、実際は2.5年に一度に起きている。

浜岡原発は、他の原発と異なり、取水塔を海に伸ばし、海水を採って冷却水としている。したがって、津波で損傷すれば、冷却できない。

◎避難

富士川などの川や、道路が寸断されたりすれば、100万人が被曝し続け逃げられない。

◎最後に

福島は、終わったわけではなく、今も現実である。

米・欧州・中国に原発があっても、地震国イタリアは原発を止めた。

風向きで首都圏への影響が甚大であり、浜岡原発は、世界で最も危険な原発である。

■被告のプレゼンテーション
被告は、約20分間、モニターは使わず、用意した書面を使いながら、プレゼンしました。

主な内容は、以下のものです。

深層防護(幾重の対策)により、「止める」「冷やす」「閉じ込める」の安全上重要な機能を確保する。

自然的立地条件についても、南海トラフ沿いのプレート境界で発生している地震について、調査している。

東北地方太平洋沖地震及び福島第一原子力発電所事故を踏まえ、地震及び津波への対応を行っている。

厳しい地震想定をしている。

津波については、詳細に調査し、数値シュミレーションにより津波想定している。

敷地内への津波侵入の防止対策により、津波は原発に侵入しない。
侵入しても、全電源喪失等に備え、空冷式ガスタービン発電機を設置してる。

防波壁について、液状化に耐えうるようにしている。

被告のプレゼンは、具体的な数字が出ず、抽象論に終始している印象でした。

以上、双方のプレゼンを終え、今後について、私たちは、本日のプレゼンを書面にして提出することを裁判所に伝えました。
なお、被告は、書面化の予定はないとのことでした。

<仮処分についての第13回目の進行協議期日>

また、口頭弁論期日の終了後、仮処分についての第13回目の進行協議期日が開かれました。

私たちは、1年ほどお時間いただく新たな証拠を提出予定であることを伝えました。
また、被告の準備書面(15)(水蒸気爆発)について、次回までに反論の書面を出したいことを伝えました。
また、私たちがプレゼンで述べた「終局耐力(しゅうきょくたいりょく)」について、今後主張していくことも伝えました。

被告は、主張(避難計画等)、証拠(全体を見なおして)について、提出未了があるので、今後行っていくとのことでした。

裁判所から、争点整理について話がありました。

被告は、まだ主張証拠が出し切れてないので、現状の争点整理は望んでないようでした。
私たちは、提訴から長く、主張証拠もだいたい出揃っているので、訴訟が漂流しないように、指標としての争点整理を行ってもらいたいことを伝えました。
再稼働してから判決では、司法への信頼を失うことになるのではという懸念も伝えました。

裁判所は、これら双方の意見を踏まえ、争点整理について検討するとのことでした。

また、裁判所からは、原告、被告から、交互に話を聞いた方がよいのかと聞かれました。
原告も、被告も、そういう柔軟な訴訟指揮を設けてもらってもいいと伝えました。
すると、裁判所は、時期によって交互に話を聞くことを提案するかもしれないとのことでした。

また、以前から私たちが提案していた検証について、私たちは裁判所に対し、再度、一度現地を見て、地形の状況、取水塔等見て欲しいと伝えました。
裁判所は、本訴での検証ということではなく、進行協議で現地を見るということはどうか、と聞いてきました。

私たち原告は、それでもよいと答えました。

しかし、被告は、現地では工事中の部分もあるし、にわかに返事できないとのことでした。

裁判所は、すぐに行くということではないが、1回で十分成果が上がるように、時期と見るものの選別をしたい考えがあることを言っていました。

<記者会見>

これらの期日終了後、記者会見が裁判所に隣接する弁護士会館で行われました。
記者会見の要旨につきましては、こちらをご覧ください。
平成27年5月21日記者会見要旨

<次回の裁判期日>

・裁判について
次回の裁判は、平成27年7月16日(木)午前10時30分@静岡地方裁判所 と指定されています。

<今後の予定>
次々回期日:平成27年9月15日(火)(!曜日ご注意!)午前10時30分
その次の期日:平成27年11月26日(木) 午前10時30分

今後とも応援をよろしくお願いいたします。