【2015年11月26日】第22回口頭弁論期日・第16回仮処分進行協議期日が開催されました
<本訴の第22回口頭弁論期日>
2015年11月26日午前10時30分から、静岡地方裁判所201号法廷にて、本訴の第22回口頭弁論期日が開かれました。
被告から、準備書面(19)と証拠が提出されましたが、準備書面の陳述は留保されました。
<仮処分についての第16回目の進行協議期日>
また、口頭弁論期日の終了後、仮処分についての第16回目の進行協議期日が開かれました。
1 争点整理の方法について
裁判所から被告に対し,被告の準備書面(19)は,裁判所が期待していたものより,率直に言って,長いとの話がありました。
裁判所から,原告被告双方に対し,
「たとえばフローチャートのような形で,各争点の論理的前後関係を明示し,ポイントを示すようなものを,A4判1~2枚程度で作成し,それを,三者の共通認識,地図にして争点整理はできないか。」
「一度にすべてを網羅する物を作成するのは大変なので,『地震』や『津波』など、ブロックごとに整理をして積み重ねればどうか。論点にも大小あると思うので,大きな争点であり,今回被告が整理をした『地震』『津波』のうち,『地震』から作業をしたらどうか。」
という話があり,双方承諾しました。
次回までに,原告側から,「地震」の論点を整理した表を用意することとしました。
また,裁判所から,整理の過程で提出する書面の扱い(本日被告から提出された準備書面(19)も含め)について,陳述を「留保」しておき,最終的に整理されたものだけを「陳述」する(裁判資料とする)という扱いとしてはどうかと提案され,これも双方承諾しました。
2 立証目標について
裁判所から、被告に対し,
新規制基準に適合しているから安全ということではなく,新規制基準や南海トラフ巨大地震検討会の知見等をふまえて、浜岡原発が安全かどうかを判断して欲しいという意味か
と確認がありました。
被告は、
中部電力は、現在,新規制基準適合性について審査を受けている最中であるから,それを直接に主張するのは難しい。
新規制基準,南海トラフ検討会の知見を含む様々な知見を踏まえて安全と主張している、
旨を回答しました。
原告側は、
新規制基準への適合性ではなく,浜岡原発の安全性(危険性)そのものを判断対象とする点は承諾した
ただし,原告は,前提として,新規制基準は緩やかすぎて適切でないと主張しているので留意して欲しい
と伝えました。
裁判官も、それは理解している、と述べました。
3 映画「日本と原発~4年後~」の上映について
この映画の短縮版(1時間)を、次々回の平成28年5月19日の期日に、法廷で上映することとなりました。
こういった上映は、画期的なことです。
<記者会見>
これらの期日終了後、記者会見が裁判所に隣接する弁護士会館で行われました。
記者会見の要旨につきましては、こちらをご覧ください。
平成27年11月26日記者会見要旨
いつも取材に来てくださる報道関係の方々、ありがとうございます。
1 鈴木団長
記者会見要旨の通りです。
2 青山弁護士(期日及び進行協議期日の報告)
被告から、地震と津波に関する被告の主張の要約の書面がでた。
我々は、きちんとした判決を早期に得たい。
ずるずる裁判をやって、結論のでないまま再稼働とはしたくない。
訴訟の早期進展のために原告から積極的に協力したいので,次回,原告の方で、争点の論理的前後関係を明らかにするフローチャートを作り(まずは地震について。後には全体像を。)、かみ合っている点はどこか、意図的に被告が放置したのはどこかを、明らかにしていきたい。
「日本と原発~4年後」が来年5月19日の期日に上映されることが決まった。
3 河合団長
被告は、一貫して、裁判を長引かせたいと言う態度である。
新しい裁判官になって、前回、裁判官から,争点整理のための「地図」をみんなで作ろうという提案があった。
そのために、まず被告が簡潔な書面の作成を求められたが、相変わらず、中電は、84ページにわたる長い書面(準備書面(19))を出してきた。
裁判長も、私たちが求めた書面とは少し趣旨が違うと言っていた。
被告のペースにあわせているといつになるかわからないので、原告側で争点表を作ることになった。
河合が監督して,昨年の今頃「日本と原発~私たちは原発で幸せですか~」という映画を作った。
これまで日本中で1000回自主上映された。
映画制作後のこの1年間に強制起訴の決定、高浜原発決定等々いろいろなことがあったので、これらの点、それから原発とテロの問題を入れて、今年10月に改訂版を作り、劇場公開した。
タイトルは「日本と原発~4年後~」。これが5月19日に法廷で上映される。
原発裁判は、資料が膨大である。技術論争も多く、訳がわからなくなる。
裁判官はそうなると、「権威者」「行政」「大手電力会社」の言うことをきけば安全との心理に陥り,「権威者」の書面を切り貼りして原告の請求を棄却する判決を出す。
「木を見て森を見ず」となる。
裁判官に、原発の全体像、鳥瞰図をつかんでもらいたいと考え、この映画を証拠申請した。
この映画の法廷での上映について、被告側は、法廷での上映の必要性はないと言った。
しかし、裁判長は、上映を認めて良いと考えると述べて、次回は争点整理を行うが、次々回には上映すると決めた。
良い方向だと思う。
4 記者の方からの質問に答えて
マスコミの方からの質問がありましたので、次のようにお応えしました。
進行協議期日で,裁判官は、新規性基準や、南海トラフ検討会の知見等をふまえて、浜岡原発が安全かどうかを判断して欲しいという意味なのですねと確認していた。
中部電力は、新規性基準に適合しただけで安全というつもりはないと言っていた。
原告側は、そのことはわかるが、そもそも新規性基準が安全だとは認めていない、新規性基準が、緩やかにすぎて適切でないという主張が前提としてあると伝えた。
裁判官も、それは理解していると述べた。
5 その他記者会見でお伝えしたこと
(1)常葉大学の教授が、御前崎市や菊川市の住民に対し,アンケートをポスティングして調査をしているようだが、設問が極めて誘導的であり、これが民意だと言われると大変な問題であると考える。
(2)静岡県の避難シミュレーションから、浜岡で事故が起きた場合、実効性のある避難計画を立てることは不可能と考えている。弁護団は,その申し入れを県知事に行う予定である。具体的な日程が決まったらまた案内をするので取材して欲しい。
<次回の裁判期日>
・裁判について
次回の裁判は、平成28年2月4日(木)午前10時30分@静岡地方裁判所 と指定されています。
<今後の予定>
次々回期日:平成28年5月19日(木) 午前10時30分
今後とも応援をよろしくお願いいたします。
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