<本訴の第27回口頭弁論期日>
2017年4月13日午後2時30分から、静岡地方裁判所201号法廷にて、本訴の第28回口頭弁論期日が開かれました。
冒頭で、裁判官の構成が変わったため、弁論の更新がありました。
この期日で、被告は、「被告準備書面(24)」、「準備書面(25)」、「準備書面(26)」、「準備書面(27)」を提出しました。
引き続き、被告は、これらの準備書面の要旨を口頭で説明しました。
■被告「準備書面(24)」の口頭説明
テロリスト(侵入、サイバーテロなど)への対応については、原子炉規制法等の法規制に基づいて対策している。
設置許可基準に、不法な侵入、不正アクセスを防ぐ規定がある。
防護区域等の区域を設け、不法な侵入、危険物の持ち込みの防止、サイバーテロの不正アクセス行為の防止など、被告は、法令の規定に従って必要な対策をしている。
■被告「準備書面(25)」の口頭説明
原告「準備書面1」への反論である。
地震時のスロッシングの危険性であるが、スロッシングは、各設備に影響しないことを確認している。
水位低下等の異常を検知する。安全機能は損なわれない。
濾過を前提とした原告の主張は不当である。
プール水の水位も大丈夫であり、圧力も維持される。
燃料プールのプール水が失われると、最悪再臨界になるが、被告は、逸水量について保守的条件で解析している。
再臨界の危険性は、プール水がなくなっても理論的に発生しない。
■被告「準備書面(26)」の口頭説明
原告「準備書面4」及び「準備書面7」への反論である。
原子力発電の必要性について、日本はエネルギー資源に乏しく、エネルギーの安定供給の必要がある。
供給安定性、経済性、環境性を考える必要がある。
20~22%程度
原子力発電の特徴であるが、ウランは火力発電の燃料と異なり、国際的に分散して存在する。少量で大きなエネルギーを出す。したがって、ウランの輸入の長期間の必要はない。
温暖化についても、原子力発電は二酸化炭素を排出しない、優れた環境性がある。
資源エネルギー庁の報告でも、コストは火力発電と比べて遜色ない水準である。
本件原子力発電の必要性であるが、国のエネルギー政策であり、停止は被告の電力供給の安定性等に大きなマイナスである。
使用済み燃料の再使用について、原子燃料サイクルは、今後も堅持の必要性がある。
使用済み燃料の有害度を低減させることも可能である。
六ヶ所の施設は、試験を全て終了し、新規制基準の適合性の確認中である。
プルサーマルは、既に確立された技術である。
高レベル放射性廃棄物の処分について、地層処分が国際的に共通であり、日本にも実現可能な地層が広く分布する。
■被告「準備書面(27)」の口頭説明
原告「準備書面28」への反論である。
水蒸気爆発への反論であるが、原告の挙げる事例はメルトスルーではない。崩壊熱のとは違う。
被告「準備書面(5)」で述べた通り、被告は各対策を講じている。
私たち原告は、以下のことを述べました。
被告の主張は、福島の事故を踏まえてない。事故前と同じことを言っている。事故を忘れてはいけない。
シンクタンクが一週間前に発表したが、総損害70兆円と、朝日新聞にも掲載された。
国家予算が100兆円のところ、一発で70兆円の損害が出たことになる。税収は50兆円なので、その1.4倍である。
経済的にもリスクが高い。
世界中で東芝のような事件が起きている。東芝は1兆円以上の損害である。巨額の債務が発生した。福島原発の事故を見て、世界中が基準を挙げた。
電力会社ではなく製作(工事)会社が工事費を負担する。
人的被害で、185人が甲状腺がんで、100万人に1人のところが、400~500倍である。
そういうことも忘れて、被告は事故前と同じことをよく主張できると思う。
また、被告の準備書面は全て抽象論に留まる。
被告「準備書面(24)」p8に対してであるが、海上保安庁の巡視船が常駐してるとは聞いたことがない。それでテロ等の襲撃をどう防げるのか。
北朝鮮情勢も緊迫している。警察が必要な武装はできない。
航空機や大型機の衝突などによる格納容器の破壊は防げない。
p9に対し、日本中に広がるのに、残存設備で何ができるのか。
被告「準備書面(25)」は、スロッシングに関する濾過が起きないという主張であるが、福島事故の教訓がある。
原告「準備書面1」にも書いたが、事故のときに濾過が起きたというシュミレーションがある。
供給安定性への影響であるが、火力に85%というが、浜岡はフル稼働しても8%しかない。何の代替性があるのか。
放射性廃棄物について、安定した地層の具体的な候補地があるのか、どこかの自治体が受け入れるという話があるのか。
メルトスルーしたデブリと、実験結果が違うというが、温度においてどれくらい違うのか。
超高温のまま下に落ちるのに、なぜ起きないのか説明されてない。
原発の苛酷事故を本気で防ごうという主張ではない。新規制基準に適合と言ってるだけである。
浜岡で何かあったら日本は崩壊する。
被告「準備書面(27)」は溶融混交物で水蒸気爆発起きないという主張だが、圧力容器は1400度程度で溶けてしまう。
ここで被告は、口頭で、浜岡の工事の状態について述べました。
安全性向上対策工事について、毎月1回以上の頻度で工事の点検確認しており、被告会社のホームページでも発表している。
安全性対策について、5号機は海水の流入に対応し、新規制基準の適合性への確認への対応をしている。
地質についても、今後もデータを補充し審査を続けている。
私たち原告は、被告の今の工事の話を、準備書面でなくともよいから書面化してほしいと伝えました。
被告は、全部報道等されていることであるので、検討させてほしいとのことでした。
裁判所も書面として欲しいとのことでした。
裁判所からは、争点整理も、双方の意見を聞きながらかなり埋まってきていると伝えられました。
<仮処分についての第21回目の進行協議期日>
仮処分については、3月に取り下げました。
本訴の進行協議が行われました。
争点整理表について、被告の項目が補充されたものが提出されました。
原告としても、争点整理表について、5月にまとまった作業の予定であることを伝えました。
裁判所、原告、被告の間で、わかりやすい争点整理表について、細かく詰めていきました。
裁判所からは、争点整理表が一段落したら、人証について検討していきたいとのことでした。
裁判所としては、新規制基準の最終的な結果について、新規制基準の審査をずっと待って結論が出てから何か進めるというのも長くかかるので、現状進められることは進めていきたいとのことでした。
例えば、新規制基準の審査に関わらない争点を一つ一つを詰めていくことや、証人尋問など、色んなやり方があるだろうとのことでした。
裁判所としては、口頭弁論期日は年に3~4回なので、例えば、進行協議期日で機動的に行えないかとのことでした。
原告はその意向に賛同です。
被告は、まだ主張が全部ではないので、証人尋問を考える段階ではないとのことでした。
また、裁判所は、準備書面で書いていることを口頭で説明する口頭議論を活性化したいとのことでした。
次回は、原告の準備として、争点整理表をまとめたのを出すということ、また反論の準備書面も準備することとなりました。
被告の準備としても、争点整理表を出すことになりました。
<記者会見>
これらの期日終了後、記者会見が裁判所に隣接する弁護士会館で行われました。
記者会見の要旨につきましては、こちらをご覧ください。
平成29年4月13日記者会見要旨
いつも取材に来てくださる報道関係の方々、ありがとうございます。
河合弁護士から、被告は、福島原発事故の前と同じことを言っていたこと、シンクタンクのレポートで、総損害70兆円であることが発表され、経済界に非常な衝撃を与えたことが述べられました。
一年間の税収を超えるものが飛んだこと、70兆円で止まる予定もないことも述べられました。
甲状腺患者の数について、一次検査を経て、二次検査で経過観察となった人が2500人いるが、ここで見つかっても国は数に入れないとのことでした。
その大事な数字を外して国と福島県は健康対策をしているが、事故当時4歳の子もおり、2500人のうち何人が発病するか、注意して見ていかなければならないと述べました。
経済的損害、人的損害とも底が抜けたのであり、東芝の件は、原発に手を出すと火傷するとう経済界の経験であると述べました。
被告の主張に対しては、絶望感と怒りを感じることを述べました。
マスコミの方には、巨視的な記事を、とお願いしました。
<次回の裁判期日>
・裁判について
次回の裁判は、平成29年7月6日(木) 午前10時30分@静岡地方裁判所 と指定されています。
<今後の予定>
次々回期日:平成29年10月12日(木) 午後2時30分 ←!!時間ご注意!!
その次の期日:平成30年1月11日(木) 午後4時 ←!!時間ご注意!!
今後とも応援をよろしくお願いいたします。
————————————————————————————–
■傍聴・進行協議期日・記者会見・昼食会について■
傍聴の仕方、進行協議期日、記者会見、昼食会のご案内については、こちらをご覧ください。